株式会社みみずや

WHYから始める
テーマ選び

長野高専「エンジニアリングデザイン実践」外部サポート

2026年度 4年生 ガイダンス ─ 株式会社みみずや

今日の90分

PART 1
自己紹介と
話題提供
30 min
PART 2
企業リサーチ
ワーク
20 min
PART 3
対話
ワークショップ
30 min
PART 4
まとめと
進路への接続
10 min

テーマ(企業)選びを「技術」ではなく「あり方」から考える90分

自己紹介と話題提供

ひとつの「事例」を共有します

中條翔太

中條 翔太

SHOTA NAKAJO

代表取締役 社長 / 長野高専 電気電子工学科(→専攻科)

「相手の顔が見えないモノづくりを続けることへの、疑問が湧いてきた。」

── 2019年の台風災害ボランティアで無力さを感じて

長野高専

自然の中で育ち、水やエネルギーに関心を持ち高専へ。サッカー部で滝澤と出会う。

重電機器メーカー(関東)

発電所・変電所向けの機器開発に従事。出世と業務効率ばかりを考える日々。

2019年 ── 転機

ボランティアで長野に戻る。自分が関わった重電設備が水没し壊されている光景を目の当たりにする。

水没した変電所
2020年 Uターン → 2022年 みみずや設立

長野へ戻り、飯綱町で農業と廃校活用という「顔の見える」事業へ飛び込む。

滝澤宏樹

滝澤 宏樹

HIROKI TAKIZAWA

代表取締役 副社長 / 長野高専 機械工学科(→信州大学)

「『ドラえもんを作りたい』の根底にあったのは、人々の暮らしを豊かにしたいという願い。
故郷を離れる同世代の『本当は地元で楽しく暮らしたい』という葛藤を解決したかった。」

長野高専

ロボット開発を夢見て進学。その一方、「この技術は社会の誰の役に立つのか」という疑問を抱き始める。

信州大学 繊維学部へ編入(感性工学)

“より人に近い領域でのエンジニアリング”に関心を持ち、感性工学の世界へシフト。

地元での衝撃

畑で食べた「生とうもろこし」の美味しさと、農家さんの生き様にふれ価値観が揺らぎ始める

県内企業へ就職

紆余曲折ありつつも長野県を拠点にする企業に就職。(ここで飯綱町との関わりが生まれる)

菅平のとうもろこし
2022年 株式会社みみずや設立

これまでの学びや「エンジニアリング」を自分なりに解釈し、目の前の地域で小さく実践していくために起業。

高専の寮仲間から、共同創業者へ

出会い

高専のサッカー部で先輩後輩。寮の同じフロアで生活し、祭りの企画を共にするなど、古くからプレ・仕事仲間のような関係値。

合流

中條が仕事にモヤモヤを抱えていると聞き滝澤が飯綱町の事業に誘う。
「優秀な高専生が長野を離れてモヤモヤしている状況にずっと違和感があった」

創業

以前の所属先の方向性と「自分たちの軸」に明確な違いを感じ独立。
2022年2月、株式会社みみずや設立。

創業の様子

キャリアは違っても、
「地域を豊かにしたい」というWHYが同じだった。

今日の自分の立場

× NOT

答えを教える人

テーマを提供する企業でも
成績をつける先生でもない

○ YES

企業と学生の
コーディネーター

お互いの「言語」や「文化」の違いを
つなぐ橋渡し役

テーマ選び・班決めの前に、「企業をどう見るか」について一緒に考えましょう。

株式会社みみずや

株式会社みみずや 飯綱の拠点

【素直に生き、豊かさを紡いでいく】

長野県飯綱町を拠点に、
農業・施設運営・地域連携を展開。

「この畑、どうしたらいい?」
「廃校、もったいなくない?」
── そんな地域のリアルな相談から事業が生まれる。

いいづなコネクトWEST
(廃校になった小学校を改装した複合施設)に事務所を置く

長野高専から車で20分程度

第4期 売上高
5,761万円
業績推移
4期連続増収
従業員数
10

地域の「土壌」を、エンジニアリングする

NAO's FARM トマト

農業

環境に合わせた作物生産・土づくり
農地の継承と産業活性化の推進
多分野の課題解決に繋がる農業構築
フィットネス ホクト

施設運営

廃校やホクト(株)の保養所の受託運営
維持管理を超え「豊かに回す」仕組み
人が集い循環するコミュニティ創出
地域連携 ロボット

地域連携

デジタル教育や自然体験等を通じた育成
行政と住民の間に立つ橋渡し役
課題と資源を結ぶエコシステム構築

農業も、フィットネスも、保養所も、プログラミング教育も。
形は違えど、すべては「目の前の課題になんとか応えたい」と動き続けた結果です。

なぜ「みみず」なのか?

ニッチ構築

高専を出た僕らが、
なぜ「みみず」の名を冠したのか。

みみずは、暗い土の中にいる地味な生き物。
でも、必死に土を食べ、環境そのものを変えていく。
そして変わった土壌が、次の命を育てる足場になる。

環境に単に「適応する」のではなく、
自ら動いて「環境そのものを創る」
生物学でこれを ニッチ構築 と呼びます。

与えられた条件でただ作業をこなすのか。
自らの創意工夫で、足元の土壌を変えるのか。

みみずの生き方は、僕らが目指す「エンジニアとしての在り方」に共鳴しました。華やかではなくとも確実なこの生き方こそが、僕らが人生をかけるに値する「テーマ」なのです。

あなたにとって、
いいテーマ(会社)って
何だろう?

高専はオペレーター(作業者)養成学校ではない

この授業の名前は「エンジニアリングデザイン実践」
その意味を、まず整理させてください。

オペレーター(作業者)

決められた手順を、
正確に再現する人。

マニュアル通りに動く。
それはそれで大切な仕事。

エンジニア(技術者)

正解がないところに、
自分で問いを立て、
創意工夫で道をつくる人。


限られた予算、限られた時間。
その中で最大の価値を生み出す。

だから ──

テーマ選びの段階から、
すでにエンジニアリングは
始まっている。


何を作るかの前に、
「なぜ」を自分で掴みにいく。

「いいテーマ(会社)」には「WHY」がある

いいテーマって、
自分の技術が活かせるテーマ?
有名な会社のテーマ?
なんとなく面白そうなテーマ?

── それも大事かもしれない。

でも、エンジニアとして選ぶなら、
もうひとつ基準がある。

💡 明確な「WHY」があるテーマ

「なぜ、それをやるのか?」
「なんのために、その技術を用いるのか?」

そこに明確なビジョン(WHY)があること。
そして、そのビジョンに
あなたが共感できることが大事。

── タイトルでもある「WHYから始める」とは、
まさにこの基準でテーマを選ぶということです。

イソップ寓話「3人のレンガ職人」

世界中をまわっている旅人が、レンガを積んでいる3人の男に同じ質問をしました。
「ここでいったい何をしているのですか?」

🧱😑

1人目の男

「何って見ればわかるだろ。レンガ積みに決まっている。なんでこんなことばかりしなければならないのか、本当についてないよ…」

目的:なし(義務感)
🧱👨‍👩‍👧

2人目の男

「俺はここで大きな壁を作っているんだよ。この仕事のおかげで、家族全員にメシを食わせていけるんだ。ありがたいことさ。」

目的:生活費を稼ぐ
⛪️✨

3人目の男

「俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!素晴らしいだろう!」

目的:世の中に貢献する(WHY)

同じ「レンガを積む(HOW)」仕事でも、
そこに「意義(WHY)」があるかで生み出される価値は劇的に変わる。

そのテーマの先にある「目的(WHY)」は何か?

企業や研究を調べるとき、どうしても「どんな技術を使っているか」ばかりに目がいきます。
しかし、それらはあくまで手段。真の「テーマ」は、その先にある目的に宿っています。

STEP 1
HOW

手段・技術

・プログラミング言語
・センサー開発
・機械加工やCAD

「どんな技術を使うか?」
▶︎
STEP 2
WHAT

成果物・活動

・〇〇アプリの開発
・生産効率化システム
・新しいロボット制作

「何をつくるのか?」
▶︎
STEP 3
WHY

目的・ビジョン

・解決したい社会課題
・誰に届けたい価値か
・どんな未来を創りたいか

「なぜ、やるのか?」

同じ企業でも、見え方が変わる

例:次世代モビリティ(電動車椅子)開発企業の場合
モビリティのメカニック
⚙️ HOW(表層的な技術)だけを見た場合

「全方位タイヤやジャイロセンサーを使った高度な自動運転技術か。姿勢制御のアルゴリズムとか、技術的に凄く面白そうな開発だ。

笑顔でお出かけ
✨ 理念や代表メッセージからWHYを汲み取る

「代表の『5cmの段差が人の一生を制限してしまう。その事実をなくしたい』という言葉。これは単なる乗り物じゃなくて、障害による心理的な壁を取り払い、その人と家族の人生の範囲を広げるための開発なんだ。

◀━
理念や目的(WHY)から出発し、「技術(HOW)」で応える(創造性を発揮する)。
このループを回していくことこそが、エンジニアの仕事。

企業の「WHY」の探し方

企業のWebサイトを開いたら、技術や製品のページよりも先に、
この4つのページを読み解いてみてください。

経営理念・ビジョンに触れる

この会社はどんな未来を描いているのか?
なぜそのミッションを掲げたのか?

→ 企業の目指す「目的地」の輪郭が見える。

代表挨拶を読み解く

「なぜこの会社を創ったのか?」
「どんな社会課題に憤りを感じているか?」

→ ここに企業の原体験(熱源)がある。

沿革をたどる

最初から今の製品を作っていたか?
どんな困難を乗り越えてきたか?

→ 事業の変遷に企業の信念が現れる。

採用ページを見る

どんな仲間と、
どんな未来を作りたいのか?

→ 顧客向けより仲間向けの本音が聞ける。

でも、
想いだけでは
会社は続かない。

── もうひとつ、大事な話をさせてください。

予算とは何か?

今回、テーマごとに
予算 35,000円 があります。

これは何か?
「材料費」── つまり原価の一部です。

もしこれを「仕事」にするなら…

売上 材料費 人件費 その他 利益

売上と原価内訳

100%
売上
25%
材料費
40%
人件費
15%
その他
20%
利益

技術者が直面する「リアル」

💸 コストの罠(技術者あるある)

「材料費だけ」をコストだと思ってしまう。
作っている自分の「時間や知恵の価値」を計算に入れるのを忘れがち。

🛠️ 技術の罠

「良い技術・ハイスペック=良いもの(高く売れる)」ではない。
「自分が作りたいもの」と「客が求めているもの」のズレ。

⚖️ 立場によって変わる「正義」

では逆に、「とにかく売れるものがいいもの?」
── これも違う。

・技術者は「品質と高度な技術」を求める
・営業は「売りやすさ(安さ)」を求める
・経営者は「採算(利益)」を求める

この複雑なリアルの中で「自分たちはどうするか?」
決断していくのが、技術者の本当の仕事です。

2つの車輪で走る

💡 存在意義(WHY)

なぜ、その会社は存在するのか

── これがなければ走る方向がわからない

×
⚙️ 持続の仕組み

限られた資源で価値を最大化する

── これがなければ走り続けられない

皆さんに渡される35,000円は、
企業が皆さんの可能性に賭けた投資

この材料費に、あなた方の知恵と工夫を載せて、
どれだけの価値を生み出せるか。

それがエンジニアリングデザインであり、
社会で生きていくための基本的なルールです。

その「技術」の先にある未来に、
あなたは共感できるか。

次のワークを通して、探求してみてください。

企業リサーチワーク

企業の「あり方」を掘り下げる

✏️ 個人ワーク ─ 20分

テーマを選び、深掘りする

STEP 1:直感で選ぶ

テーマ候補から、純粋に「面白そう」「気になる」と感じる企業・テーマを1つ選ぶ。

STEP 2:情報を抜き出す

WEB等で調査し、経営理念や課題などをワークシート【STEP 1】に抜き出して記入。

STEP 3:共感を言語化する

その企業が目指す未来や課題に「なぜ共感できたのか?」をワークシート【STEP 2】に記入。

💡 ポイント

技術(HOW)を探すのではなく、
「なぜそれをやるのか(WHY)」
フォーカスしてリサーチしよう。

WORK SHEET

企業分析・テーマ選定ワークシート

学科: 氏名:

STEP 1:WEBサイトから言葉を集める(抜き出し)

調査する企業(テーマ)名:

① 経営理念・ミッション・ビジョン等

※企業の根幹となるメッセージをそのまま抜き出してください

② キーワード・対象となる課題・目指していること

※気になった言葉や、企業が解決しようとしている課題を抜き出してください

STEP 2:あなた自身の「共感」

その企業が目指す未来や課題に、共感できたか?

※「なぜ面白そうと感じたか」「自分事のように思えるか」

STEP 3:あなたが活用する「技術(手段)」

目標達成に、どんな技術・知識を使いたいか?

※これまでに学んだこと、あるいはこれから学びたい具体的なアプローチ

本日の授業の感想・フィードバック(自由記述)

※疑問に思ったこと、考えたこと、なんでも自由に書いてください

🔍 企業リサーチ中

テーマの裏にある「WHY」を探してください

この企業は何のために?

WHY

大切にしている価値観は?

VALUE

誰を幸せにしたい?

WHO

対話ワークショップ

異分野の人と「WHY」で語り合う

💬 対話 第1ラウンド ─ 10分

社員に「なったつもり」で語る

📌 ルールと流れ

  • 前後左右の人と ペア(1対1) を組む
  • ペアの相手を変えながら 計3回 行う
  • その企業の社員になったつもりで語る
語る人(ピッチ)

「私たちは〇〇という会社です。
〇〇を理念(目的)として、〇〇の事業などに取り組んでいます。
私が特に共感したのは、〜〜です。
なぜなら、〜〜だからです。」

聴く人

話をよく聞き、必ず 質問を1つ以上 投げかける。
(例:「その課題に着目した理由は?」「どんな人に届くの?」等)

🔀 第2ラウンド:席替え ─ 10分

他学科の学生と話してみる

📌 ルールと流れ

  • 教室を大きく移動し、初めて話す人 2名 とペアを組む(簡単な自己紹介からスタート)
  • 第1ラウンドと同じく、社員になりきってWHYを語る。

自分と全く違うテーマ(企業)を選んだ人と対話することで、「そういう課題へのアプローチもあるのか」という新しい視点に気づくはずです。

🤝 ファイナルラウンド

同じテーマを選んだ人同士で集う

📌 ルールと流れ

  • 特に席のルールなどは設けません。自分たちで動いて同じ企業を選んだ人同士で集まってください。
    (※テーマが複数ある場合も、同じ企業であれば一つのグループになります)
  • 3〜5名のグループになり、これまでと同じこと(ピッチと対話)を行います。
  • 一つの企業の希望人数が多い場合は、適宜3〜5人になるようにグルーピングして話を進めてください。
※今回は模擬的なプレ・ワークです。実際のテーマ選びと「本番の班決め」は来週の授業で行います。

💬 対話ワーク中

その企業の一員になったつもりで、熱い想いを語ってください

話すこと

「私たちは〇〇という会社です。
〇〇を理念として、〇〇の事業に取り組んでいます。
私が特に共感したのは、〜〜です。
なぜなら、〜〜だからです。」

まとめ

この1年間と、その先のキャリアへ

今日、体験したこと

1

企業の「あり方」を掘った

テーマの裏にある「なぜこの企業は存在するのか?」を自分の手で調べた。

2

WHYで対話した

技術や仕様ではなく、ビジョン(想い)で語り合い、共鳴できるポイントを探した。

3

異分野と繋がった

違う学科の人と初めて話し、「違い」から新しい視点を得た。

テーマ選びは、進路選びの予行演習

4年生の皆さんは、これから
就職や進学という
大きな進路選択を迎えます。

その時 ──

「自分の技術が活かせるか」
「安定したいい給料の出る会社か」
だけで選ばないでください。

その企業の存在理由(WHY)に、
自分は心から
共感・共鳴できるか?

共鳴できる相手となら、
困難な課題にも1年間、
社会人になってからも、
情熱を持って立ち向かえる。

この1年間の
エンジニアリングデザイン実践は、

社会と自分の
「共鳴ポイント」を
探すための訓練。

WORK SHEET

企業分析・テーマ選定ワークシート

学科: 氏名:

STEP 1:WEBサイトから言葉を集める(抜き出し)

調査する企業(テーマ)名:

① 経営理念・ミッション・ビジョン等

※企業の根幹となるメッセージをそのまま抜き出してください

② キーワード・対象となる課題・目指していること

※気になった言葉や、企業が解決しようとしている課題を抜き出してください

STEP 2:あなた自身の「共感」

その企業が目指す未来や課題に、共感できたか?

※「なぜ面白そうと感じたか」「自分事のように思えるか」

STEP 3:あなたが活用する「技術(手段)」

目標達成に、どんな技術・知識を使いたいか?

※これまでに学んだこと、あるいはこれから学びたい具体的なアプローチ

本日の授業の感想・フィードバック(自由記述)

※疑問に思ったこと、考えたこと、なんでも自由に書いてください

株式会社みみずや

素直に生き、
豊かさを紡いでいく

ご清聴ありがとうございました

株式会社みみずや ─ 長野県上水内郡飯綱町川上1535 いいづなコネクトWEST-108

✉️ info@mimizuya.co.jp ─ https://mimizuya.co.jp

WORK SHEET

企業分析・テーマ選定ワークシート

学科: 氏名:

STEP 1:WEBサイトから言葉を集める(抜き出し)

調査する企業(テーマ)名:

① 経営理念・ミッション・ビジョン等

※企業の根幹となるメッセージをそのまま抜き出してください

② キーワード・対象となる課題・目指していること

※気になった言葉や、企業が解決しようとしている課題を抜き出してください

STEP 2:あなた自身の「共感」

その企業が目指す未来や課題に、共感できたか?

※「なぜ面白そうと感じたか」「自分事のように思えるか」

STEP 3:あなたが活用する「技術(手段)」

目標達成に、どんな技術・知識を使いたいか?

※これまでに学んだこと、あるいはこれから学びたい具体的なアプローチ

本日の授業の感想・フィードバック(自由記述)

※疑問に思ったこと、考えたこと、なんでも自由に書いてください